9月7日(金)⑫ 体育倉庫からの脱出
窓を開け、外を見渡す。暗い倉庫の中にいたせいか、陽の光が目に眩しい。目の前にはグラウンドが広がっている。周りに設置された模擬店もそのままだ。
続きを読む9月7日(金)⑩ 秘密兵器
「チカゲちゃん? 無事だったの?」
私は端末に向かって叫んだが、スピーカーからは相変わらず『ナナミさん、聞こえたら応答してください!』という声しか聞こえない。どうやらこちら側からなんらかの操作をしなければ、私の声は向こうには届かないらしい。
続きを読む9月7日(金)⑧ 窮地
板張りの廊下を真っ直ぐに進む。柔道場とは丁度東西の反対側に体育倉庫がある。取りあえず体育倉庫に避難しようとして、私は立ち止まった。こんな状況で止まるなんて、危険きわまりない行為かもしれない。でも私にも思うところがあったのだ。
続きを読む9月7日(金)⑥ 囮
してはいけないと思いつつ、後ろを振り返ってしまう。何かに追われているとき、振り返るという行為は最悪の悪手だ、話しをどこかで聞いた。しかし、自分を追ってきているものが、どれだけの距離にいるのかを知りたいと思うのは、生物としての本能ではないだろうか。
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